寺院によるエンディングノート支援
寺院によるエンディングノート支援の方法
すでに、何らかのエンディングノートを手に入れたという人は相当な人数になると思われますが、実際に中身を記入した人は1割にも満たないと言われます。エンディングノートに関して最も言われる問題が、「書けない」ということなのです。
また、エンディングノートを書いた後には、保管や実現を誰に託すかということも問題になります。
これらの問題を解決するためには、家族の協力が得られれば、それが最も理想的です。しかし、様々な事情から、家族や親族に頼めない人もいます。そんな時は、各種専門家への委託や、信託銀行のサービスなどを考えることもできますが、寺院がこれらの問題を支援することもできるのではないでしょうか。
【支援1】書けない人には
話し相手となり、適度に問いかけると、書きやすくなる場合があります。アルバムや日記など、手がかりになるものがあれば、一緒に眺めながら質問するのも効果的でしょう。
また、エンディングノートを手にしたものの、自分の最期という大きな問題に対する想いが定まっていなければ、ただ眺めるだけになってしまうのも仕方ありません。時間をかけて、死生観を学んでいくことが必要でしょう。そこに寺院の役割もあります。
ただ、極端な言い方をすれば、エンディングノートは書くことが最も大切なことではありません。家族が想いを理解し、想いが伝わることが何より大切なのです。話すことで、想いを分かり合うことができれば、それでもいいのです。
【支援2】保管場所の問題
書き終えた、あるいは書きかけのエンディングノートの保管場所で悩んでいる人がいれば、寺院に保管することも可能であると伝えるのもひとつでしょう。
例えば、いざという時まで家族に見られたくないと隠した結果、エンディングノートが見つからないとなれば、必要な時に意味をなしません。そもそもエンディングノートの存在自体を誰も知らなかったという話にもなりかねません。
もし、寺院に保管してあるならば、関係者に「お寺に預けてあるから、いざという時にはそれを見てほしい」と伝えればよいことになります。
また、エンディングノートの扱いに関して、寺院が家族の間を取り持つことも必要でしょう。エンディングノートを介して、家族の間により強い信頼関係が生まれ、そこに菩提寺が関わることになれば、終活に取り組んだ結果としては素晴らしいことではないでしょうか。
【支援3】内容の実現の問題
遺言では、遺言執行者を指定し、遺言の内容を実現してもらいます。自分の死後の問題は自分で行動できませんから、誰かに託さなければならないのです。同じように、エンディングノートにも、自分では実現できない項目がありますので、誰に実現してもらうかは大切な問題です。
また、エンディングノートは、遺言のように法的な効力は持ちませんから、関係者が書かれた意思を尊重してくれるかどうかにすべてが係っています。
家族や友人などにエンディングノートを託せない人には、寺院が預かり、必要に応じて関係者に指示を与えることを考えてあげるといいでしょう。
なお、少しでもエンディングノートの実現可能性を高める意味では、エンディングノートとともに、遺言や死後事務委任を含めた財産管理等委任契約を公正証書で作成しておくなど、いくつかの手段を組み合わせるという方法も検討する必要があります。
良い終活とダメな終活 ~ 注意するポイントと大切なこと
終活という言葉もすっかり定着し、葬儀やお墓、相続や遺言などの特集をよく見かけるようになりました。ニュース番組では、遺影を撮影したり、棺桶に寝てみたりといった様子が報道されます。人生の最期の問題に目を向け、元気なうちに、自分で準備を進めておくことは大切なことです。しかしながら、終活で何を準備する必要があるかは、人それぞれで事情も違います。また、人生の最終章には、事務的な準備で解決できる項目ばかりでなく、深い理解を必要とする大切な問題も少なくありません。終活ブームに流されて終わらないために、いくつかのポイントをあげてみたいと思います。
終活の問題は、お墓やお葬式だけではありません
生きているときは介護や入院や認知症など、死亡時には死亡診断・死亡届・遺体の搬送・火葬許可など、無事にお葬式を終えても、病院や施設の清算・各種届出・相続・遺品整理・ペットやパソコンの処理など、やるべきことはたくさんあります。
受け継がれた儀式やしきたりの意味を学びましょう
長い間受け継がれてきた儀式やしきたりには、大切な意味があります。故人や遺族への思いやりや優しさが根底にあります。それを学ばずに、すぐに略してしまうのは考えものです。ましてや、お金の問題だけで考えてしまうのは寂しいことです。
縁やつながりを忘れないように
死んだあとのことは当然ですが、生まれてから死ぬまでの間も、一人では出来ないことだらけです。生きるも死ぬも、誰かの手を借りなければならないのです。ご縁に感謝することなしに終活は進められないのです。
伝えるべきは考えではなく、想いではないでしょうか
エンディングノートによる終活支援をお考えの僧侶の方へ
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