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宗教法人規則変更

 規則変更の一般的な流れ

① 宗教法人内部の手続
 現在の規則に定められた手続きに従って、宗教法人として規則変更を決定します。
・被包括関係の設定又は廃止に係る規則の変更をしようとするときは、変更認証申請の少くとも2ヶ月前に、信者その他の利害関係人に対し、当該規則の変更の案の要旨を示してその旨を公告しなければなりません。
・被包括関係を設定しようとする場合には、認証申請の前に当該関係を設定しようとする宗教団体の承認を受けます。
・被包括関係を廃止しようとする場合には、公告と同時に当該関係を廃止しようとする宗教団体に対し廃止通知をします。
・所轄庁によっては、他にも公告を求める場合があります。

② 包括団体の承認
 包括団体(各宗派の本山など)の定める手続きにより承認を得ます。被包括関係廃止の場合は不要です。

③ 所轄庁へ申請
(必要書類の確認)
 必要書類は、認証申請書と変更しようとする事項を示す書類が基本です。そこに各種の添付書類が必要になりますが、変更内容や提出先の都道府県によっても違いがあります。窓口で相談し指導を受けることが大切です。必要部数もそれぞれご確認ください。

書類の分類具体的資料(例)
申請書認証申請書(所轄庁に書式があります)
変更しようとする事項を示す書類新旧対照表など(全面的な変更、縦書きを横書き、旧漢字を改める等の場合、新旧対照表にかえて規則の写しを添付する場合があります)
規則変更の決定について規則で定める手続きを経たことを証する書類責任役員会議事録の写し(責任役員の証明)・包括団体の承認書の写し・その他の機関の同意書など 
その他(変更内容によって様々な添付書類が必要)事業説明書・事業に関係する書類・公告したことを証する書類・包括団体への廃止通知・境内地や礼拝施設に関する書類・代表役員の印鑑証明書・法人の印鑑証明書・規則変更理由書など

④所轄庁の受理・審査・認証
 所轄庁は、申請に不備がなければ受理をして、その旨を通知します。そして、内容を審査して3ヶ月以内に認証するかどうかを決定します。認証した場合は、「認証した旨を附記した変更しようとする事項を示す書類」を交付します。

⑤変更
 宗教法人の規則の変更は、所轄庁の変更認証書の交付に因つて効力を生じます。

⑥登記(登記事項の場合)
 変更した事項が登記事項の場合は、2週間以内に、主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければなりません。
主たる事務所を他の登記所の管内に移転したときは、旧所在地においては移転の登記をし、新所在地において登記します。
(登記事項)
・目的(事業を行う場合には、その事業の種類を含む)
・名称
・事務所の所在場所
・包括する宗教団体がある場合には、その名称及び宗教法人非宗教法人の別
・基本財産がある場合には、その総額
・代表権を有する者の氏名、住所及び資格
・不動産(境内地、境内建物)又は財産目録に掲げる宝物の処分や担保に供する場合の事項
・規則で解散の事由を定めた場合には、その事由
・公告の方法

 事業に関する変更

 宗教法人法第6条では、宗教法人が公益事業と目的に反しない範囲で公益事業以外の事業(収益事業)を行うことができるとしています。ただし、収益を生じたときは、これを当該宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教団体又は当該宗教法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければなりません。関係者で利益を分配することは出来ません。

宗教法人の事業

①本来の宗教活動
(規則変更の必要なし、原則は非課税)

②公益事業(不特定多数の利益を図る)
教育・学術・技芸・医療・社会福祉に関する事業等
例:幼稚園経営、宗派宗旨を問わない霊園経営

③公益事業以外の事業(収益事業)
法人税法施行令第5条1項の34業種、一定規模以上の農林業など

(②、③の事業は規則へ記載する必要あり、課税の可能性)

※ 詳しくは、国税庁ホームページの「宗教法人の税務」をご参照ください。

《規則への記載例》
第○条 この法人は、次の事業を行う。
(1)○○業
(2)○○業
2 前項の事業は、別に定める「○○事業運営規程」に基づき、代表役員が管理運営する。
3 第1項の事業に関する会計は、一般会計から区分し、特別会計として経理しなければならない。
4 第1項の事業から生じた収益は、この法人、又はこの法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。

 所在地の変更(移転)

 宗教法人の住所は、主たる事務所の所在地です。寺院規則の「主たる事務所の所在地」を変更することで、移転をすることが出来ます。言わば「宗教法人の引越し」です。
移転先によって、同一都道府県内の移転と、他県への移転に区別出来ます。

同一都道府県内の移転
 手続きとしては、現在の所轄庁への規則変更認証申請です。基本的には、移転先施設や宗教活動の実態など、その宗教法人の同一性・継続性が確認出来ることがポイントです。また、宗教法人事務が適正に行われていることなども確認されるでしょう。様々な関係資料が要求される可能性があります。

(提出書類の例)

申請書等宗教法人規則変更認証申請書・代表役員の印鑑証明書・現行の宗教法人規則(全文)の写し・変更する事項
宗教法人規則で定める手続を経たことを証する書類責任役員会議事録の写し・責任役員就任受諾書の写し・包括団体の承認書又は同意書の写し等
移転後の施設に関する書類土地(建物)の登記事項証明書・境内地の公図・案内図・配置図・礼拝の施設の建築確認通知書及び検査済証の写し等

 所轄庁によって違いがあります。また、それぞれの案件によっても、必要書類や手続きが違ってくる可能性があります。頻繁にある申請ではないので(というか「はじめて」という所轄庁がほとんどでしょう)、所轄庁の回答に時間がかかる場合もあります。早い段階から所轄庁の担当窓口に相談し、指導のもとに進めることが大切です。

他の都道府県への移転
 現在の境内建物等を処分して移転する場合は、所轄庁は移転先の都道府県知事となります。境内建物等を残す場合は、所轄庁は文部科学大臣となります。
 同一都道府県内の移転と基本的な考え方は同じですが、所轄庁が変わる(遠距離)ゆえの注意点もあります。
 まず、移転先を準備した時に、現在の所轄庁に対して、境内建物を県外に設置した旨を届け出る必要があります。
 次に、同一管内の移転よりも、宗教法人としての同一性・継続性の確認がより慎重になされる可能性があります。活動実績の期間が長目に要求されるでしょう。1~2年は必要になると思われます。

 なお、移転(変更認証)が完了すれば、新しい所轄庁から移転前の所轄庁へ連絡が行き事務処理されるので、従前の所轄庁への届出は不要とのことです。

(従たる事務所について)
 宗教法人は、主たる事務所とは別に、従たる事務所を置くこともできます。これは、移転にはなりません。


《不動産取得時の非課税手続きをお忘れなく》
通常、不動産を取得すると、①登録免許税(国)、②不動産取得税(都道府県)、③固定資産税・都市計画税(市町村)が課税されます。登録免許税は登記の際に法務局で納めます。

 これらの税金は、宗教法人が宗教活動のために使用すると認められれば「非課税」になります。そのためには、所轄庁に「境内建物・境内地証明申請(非課税証明願)」を行います。

 もし、この手続きをせずに、不動産の取得をしますと、非課税になった可能性のある税金が課税されてしまいますので、ご注意ください。

行政書士は、規則変更認証申請や境内地・境内建物証明申請に関する書類作成や手続き代行が出来ます。宗教法人に詳しい行政書士にご相談されることをお奨めします。

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